音と風の生活(ネットで楽しむバイオリン)

久しぶりにバイオリン始めました。ネットで買ったり、いじったり楽しくやっていきます。

ネットで見つけた20世紀のモーツァルト ヴォルフガング・コルンゴルト

このところコロナで家で音楽を聴く機会が増えています。

 

そんな中で、ある面白い作曲家の音楽との出会いについて。

私としては実際に真面目に聴くのは初めての作曲家でした。

 

名前はウォルフガング・コルンゴルド

 

なぜ、この作曲家の音楽を耳にすることになったかと言うと、現在のヴァイオリンの第一人者のアンネゾフィームターのチャイコンを聴きたくなったからです。

 

前に書いた通り、私はBlue Sky Labelでflac音源のハイレゾで音楽を楽しむ派です。なので普段耳にするバイオリン演奏家ハイフェッツ、コーガン、オイストラフシェリング、ミルシュタインなどのいわゆる昔のヴィルトーゾ。

前時代の超絶技巧文明の方々です。(ファイブスターの騎士みたい)

 

それが最近のコロナの影響で、ライブ配信で色々な日本の若手の演奏に触れているうちに、そういえば今の時代のナンバーワンのバイオリン演奏家誰だっけって話になりました。

 

ムターは、クレーメルパールマンなどと並びまごうことなき現在トップの演奏家

 

そこで、アマゾンでちょうど今後の練習用に聴きたかったチャイコンのCD買ってしまいました。

 

まず驚いたのが超美魔女化したムターのジャケ写真。昔カラヤンとデビューした時にドイツの田舎のオネーサン風のものとは隔絶の感があります。

 

そんでもって、そのチャイコんにカップリングで入っていたのが今回話をしたいウォルフガング・コルンゴルドのバイオリン協奏曲でした。

 

この方、マーラープッチーニなどに10才の頃から天才と絶賛され、ウォルフガングと言う名前から20世紀モーツァルトとウィーンで名声を得た方です。(日本の某都市のモーツァルトとは訳が違います)実際にマーラーが10才の頃の作品を聞いて”わお、天才だー”って言ったなんて話も。

 

その後オペラ作家として名声を得ますが、ナチスに終われ、渡米。ハリウッドで映画音楽を生業とすることに。クラシック譲りの音の厚い映画音楽を作り上げ、アカデミー賞音楽賞を2度受賞、スターウォーズの音楽に直接影響を与えたと言われています。

 

しかし一方、クラシックの世界では、戦後ウィーンに戻るも、ロマン派の古い音楽と聴衆、批評家に受け入れらなかったみたいで、日本でもほとんど名前を聴くことがない音楽家かと思います。

 

さて、、、

 

私が、なぜこの作曲家に興味を持ったかと言うと、それはこの作曲家が映画音楽やポピュラーと言ったの現在のオーケストラ音楽と、ロマン派のちょうど中間点で、橋渡しをした作曲家だと感じたからです。

 

クラシック音楽の歴史の流れは、高校の音楽の授業でも教えられますが、ロマン派のあとに飛躍的断絶があり、いきなりシェーンベルクとかの12音主義の現代音楽になります。

 

私もベートーベンとか古典でクラシックに入ったんですが、その後徐々に年代を下ってロマン派が好きになり結構マーラーとか後期ロマン派が好きな時期がありました。でも、それ以降の時代に自分の志向が下がっていくことはほとんどありませんでした。ぶっちゃけ12音主義の現代音楽があまり好きでなかったからです。

 

年表を見てみると1860年代に生まれたドビッシー、マーラー、Rシュトラウスプッチーニあたりがいわゆる調性音楽の終わりと言われています。

例えばマーラーの9番の交響曲などは調性音楽の限界などと呼ぶ人もいます。(この曲の作曲は1909年です。)

 

同じ時期、1874年に生まれたシェーンベルクが12音の無調音楽を創り出し始めたのが1900年頃で、そこから現代音楽へ突入して行きます。

 

そして現在の到るまで現代音楽がクラシック音楽の主流とされています。

 

しかし、そうやって作り出された現代音楽は、狭いサークルの中でしか聞かれることはなくなりつつあり。戦後は、大衆迎合に成功したり、しいられた社会主義系の作曲家が生き延びている状態と言っても良いかと思います。

 

一方、世の中を見渡すと、レミゼラブル、オペラ座の怪人のような音楽に優れたミュージカルや、スターウォーズハリーポッターのようにレベルの高い映画音楽が多くあります。

 

それらの作曲家は、極めて才能に溢れた人たちで、そうした方の作品に比べると、今の現代クラシック音楽ってどうなったんだと思ってしまったりもする訳です。

 

クラシックの世界でも、むしろロマン派後期の作品方が人気もあると言う状況になっています。

 

でも、後期ロマン派の作曲家の中には、現代音楽の並みに翻弄され、生前ずっと評価に恵まれなかった作曲家もいます。

 

たとえばラフマニノフ

彼のピアノ協奏曲2番は今やクラシックでナンバー1とも言える人気の曲ですが、それはここ数十年の話。1873年生まれとシェーンブルクの2年前に生まれた彼は、現代音楽の勃興の中で評価に苦しめられた音楽家でした。

 

昔、ピアニストの故中村紘子さんが日経の連載で書かれてたんですが、彼女がコンクールで実績を出しヨーロッパで活躍し始めた197、80年代の頃、東ヨーロッパのオーケストラに招聘されてどの曲を弾くかと言う話になって、オケの責任者に彼女の得意なラフマニノフを演奏したいと言ったら。「ラフマニノフですか、もう数十年はやってません。」って言われてショックを受けたそうです。

当時ヨーロッパではラフマニノフは、単に古い音楽家と見なされてしまっていたようで、ロマン派の最後を飾る音楽家としての時代認識がなかったのが原因と述べておられました。

 

では、今はラフマニノフはロマン派の系譜の最後として正しく評価されていると思いますが、そこでロマン派は途切れてしまったのか、、て言うのが、私にとって大きなクェスチョンでした。

 

また、現在のスターウォーズハリーポッターのような音楽はどうやって生まれて来たのかって言うのも不思議でした。

 

そして今回、1897年に生まれたコルングルドはどーもその鍵の一つになりそうって言うのが発見でした。

 

さて、、、、、

 

今回ムターの弾くバイオリン協奏曲の第3楽章を聞いて、”あー”って声が上がりました。そこには、マーラーハリーポッターが10秒ごとに入れ替わる、煌めきの世界がありました。

 

ぴったり(後期ロマン派 + ハリウッド映画音楽)➗2の感じです。本当に驚きました。

 

さらに超絶技巧のザ、クラシックって言う仕上がりです。

 

コルングルドの没した1957年って戦後ですし、私が生まれた年ともそんな離れてもいません。

 

また、彼はシェーンベルクよりも20年以上も後に生まれたにも関わらず、初期のオペラではウィーンやイタリアでも絶賛されています。そうした時代のオーストリアってどんな感じだったんでしょうか?

 

コロナ明けにはオーストリアにも行けそうなのでちょっと楽しみになりました。

 

コルンゴルトのバイオリン協奏曲は彼がアメリカに亡命してから作られた曲で、初演をしたハイフェッツがレパートリーとしていたようです。

 

曲は同じく米国へ亡命していたマーラーの未亡人に献呈されています。さすがアルマさん手が早い。

 

最近は特にアメリカの若手も結構弾くようなので、機会があればぜひ一度スターウォーズハリーポッターの先祖の世界へどうぞ。

 

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クラシックと映画音楽を繋いだ人