音と風の生活(ネットで楽しむバイオリン)

久しぶりにバイオリン始めました。ネットで買ったり、いじったり楽しくやっていきます。

楽しめるクラシック音楽映画3 パリに見いだされたピアニスト

コロナの間に自宅映画館で見つけた素晴らしいクラシック映画のご紹介を。

 

この映画、少し前に書いた「蜜蜂と遠雷」と対極にあるコンクール映画です。

 

ストーリーは、「駅前ピアノ」から世界的ニュースターが生まれるっていう、ベタなハッピーエンドストーリーです。ご都合主義的なストーリーは、前に紹介した「オーケストラ!」に負けず劣らずです。こっちの方がすごいかも。

 

でも単純なハッピーエンド映画にとどまっていないのが、この映画を楽しめるところかなと思います。

 

まず、クラシック音楽界や、音楽大学がすごく格好良く描かれています。パリのコンバとでロケがされているシーンなどは、パリで音楽学ぶってこんな楽しい感じなんだと羨ましくなりました。厳しい教授のレッスンも、トップクラスのレッスンのすごさを垣間見せるものでした。

 

また、今のパリをうまく描いていると思います。フランスが抱える社会階層の問題や、その中でいろいろ悪事に手をそめながらも正直にしっかり生きて行こうとしていく非白人系若者の力強さもそうですし、パリの街の中でのデートシーンがあるのですが、本当に魅力的に撮れていて、パリに40回は行ってる私でもまたパリに行きたくなってしまいました。本当にパリをうまく描いてます。

 

それから、イノベーティブなことやエスプリって何かを深く考えさせる映画でもありました。天才っていうものが何で、才能が世の中をどうやって変えて行くのか、どうすればそれが可能になるのかってことを描くことに正面から取り組んでいて、その妥協のなさには鋭ささえ感じます。突拍子もないアイデアがベースのご都合主義のストーリーなんですが、フランスという国では本当にありえてしまうんではないかって十分思わせるほどで、フランス人のエスプリの精神を強く感じました。

 

フランスという国は、理屈とか合理性をすごく重視しても、結局のところ直感で未来への道筋を作っていくんだなーと。またそういったチャレンジを許容する器の大きさってというかユルさは日本にはないですね。

 

日本版の「パリに見出されてピアニスト」は、元々のフランス語原題の「指先で」っていうものと大きく違います。どちらも私が見て感じたイメージとは少し違いますが、確かに名前をつけるのが難しい映画かもしれません。

 

ラフマニノフの2番の協奏曲が全編に流れる、音楽好きにもしっかり応えられるこの映画は本当におすすめです。

 

最後のシーンが本当によくて、やっぱり色々な街に行きたくなりますね。

 

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天才はこうして見出されるんだ、、、