楽しめるクラシック音楽映画1 オーケストラ!(ネタばれあり)
管理人は、結構クラシック音楽映画が好きだったりします。
クラシック音楽映画って、そもそもクラシック音楽好きな人間が少ない上に、その中で映画を見ようって言う人間を探すのはさらに大変そうで、結構ビジネスとしてはなり立たなそう。映画好きの中のクラシック音楽好きを探しても数は本当に限られそうです。
また、音楽だけでも芸術って話になると難しいのに、さらにそれに映像美の芸術まで重なると、難しいの二乗になってしまいますから、もー訳分からんという世界になってしまいそうです。
私が昔マーラーの交響曲が特に好きだった時期があり、まさに”マーラー”っていう映画が公開され、普段行かないような、そういったマニアックな映画だけをかけている専門館に見に行ったんですが、これがまさに難しさの二乗を絵にかいたような作品でした。
というよりさらに、この”マーラー”に関しては、さらにドイツ現代芸術のセクシャル演出まで顔を出していて、難しさの三乗です。難解さの塊で参ってしまい本当に惨状なんですが、ある意味マーラーの音楽を体で表す優れた映画だったとも言えるかも。でもあの映画誰が見に行ったんだろうーって今でも思うことがあります。
これ以外にも、昔のクラシック音楽映画には、どちらかというと芸術視点のものが多かった気がします。
でも、ところがどっこい、最近はけっこう”くだけた”クラシック音楽映画の名作がいくつか出てきています。ストーリーがすごくご都合主義だったりもするんですが、音楽好きには楽しめる映画に出会えることも多いです。
さて、、、
今回取り上げた、オーケストラ!っていう映画は、最近クラシック映画にはまるきっかけになった映画のひとつですが、そうしたエンターテイメント性の高い楽しめるクラシック音楽映画でした。
映画は、ロシアのボリショイ劇場で清掃員として働くかつてのボリショイ交響楽団の天才指揮者が、偽のボリショイ交響楽団を作るところからはじまります。そして、かつて共産党に追放されて廃業した楽団仲間と共にパリで成功を目指すというベタなストーリー。
映画の最後の方で、ほとんど数十年演奏していない元プロの集まりのオケが、演奏が止まりそうな外し方のよれよれでチャイコンを弾き始めます。
そりゃそうでしょう、いかにプロでも何十年も楽器触ってなければそりゃ簡単に音はでんわな。指揮者ほとんどアル中だし、なんたってゲネプロなしで本番。それで舞台に載れるプロの方はさすがに我々アマチュアとはハートのレベルが違います。
でもそこから美人ソリストに引っ張られて一瞬で完璧さを取り戻して演奏していく様は、本当に見事。ウルトラセブン登場って感じです。いずれにせよめっちゃくちゃなハッピーストーリー。
また、その演奏がどえらくすごくて、チャイコフスキーのバイオリンコンチェルトをとっ外れた冒頭から立て直して行くっていうオケの芸達者さもさりながら、バイオリニストの演奏が、良く言えば情熱的、悪く言えば究極のクネクネ演奏です。
クネクネご存知ない方はのだめカンタービレ呼んでいただきたいですが、テンポが数割振れているんじゃないかっていうくらいの、過度なクネクネで、これをコンサートでやると批評家にバカ叩かれしそうです。
でもパリのコンセルバトワールの先生が弾いている確かなクネクネ演奏は、映像とすごくマッチしています。不覚にも泣きそうになりました。お美しい女性の背筋が伸びたクネクネ演奏って本当に素敵。
ちなみに、このハチャメチャな作品はフランス映画でして現題はLe Concert。
コメディーと分類する人もいるこの映画は、正直前半のストーリーは結構グダグダですが、後半はさすがの一気呵成のみごとな寄せです。下にHPからの写真つけますが演奏会のシーンは多分パリのシャトレ座だと思いますが、古いパリの演奏会場の雰囲気を映し出した映像美も抜群です。
フランスのアカデミー賞といわれるで音楽賞を受賞し、横浜のフランス映画祭で観客賞もとっています。
よろしければ、一度ご覧あれ。