ネットとリアルの融合 参号器購入プロジェクト第二話 中国製マイスターバイオリン試奏
なんだか分からないタイトルですが、サブ楽器となる新しいバイオリンの購入にあたり、今回はネットとリアルの世界がバイオリンでどう融合するかって話です。
前回でご報告しましたが、新しいバイオリンをネットで買ってみようとして
1.日本人製作家のマスターメイドの中古 ->断念
2.スズキのハイグレード(500番台以上) ->見送り
3.中国人製作家ののマスターメイド
4.新興国メーカー
5.ドイツ
の順で始めて、最初の2つは撃沈しました。
そこで、今回は中国人マスターメイドのバイオリンを狙ってみました。それも、なんと試奏まで。
中国人製作のバイオリンは今巷にあふれかえってます。でも日本ではあまり個々のブランドは知られてないですね。下の楽器屋さんのサイトに有名どころの工房が写真を含めて照会されてますが、北から南まで色々な製作所があるようです。
http://www.autumnvalley.net/page/1
中国の田舎のおっちゃん、おばちゃんが手作業で作っている雰囲気が伝わりますね。
それ以外にも、有名な製作家がすでに出ていて、アメリカのコンクールで金賞を取ったLandi Shengの作品とかは、高級楽器店で結構な値段で売られていたりもします。前に書いた譚さんのバイオリンも国際的に高い評価。
実際、ドイツやイタリアで売られている工房製の中には、エントリーグレード(と言っても数十万円)は白木の楽器の組み立てまで中国でやって、ニス塗りと調整だけ自分の国でやるとかあるみたいです。また反対に中国国内で作られたバイオリンも木材、ニスともイタリアから輸入っていうのもあるようです。
もっと言っちゃえば、イタリアの有名なバイオリンの生産地に中国人が集まってイタリア製のバイオリン作っているなんて話も、、、、
そんなんなっちゃったら、どこ製なんて考えるのがバカらしくなりますね。
なので、ここはもしかすると掘り出し物になるかもしれない、マスターメイドのものを安く買ってみたいと思った次第です。
さて、、、
そうしてネットを探してみると、大量生産品出ない中国製作家の楽器いくつかありました。値段はまちまちで、マスターメイドにも関わらず鈴木の新品よりも安いやつとかもありました。
面白いものでは、中国のお国柄か、側板にすごい杢目が入ってドラゴンっぽいバイオリンがあり、それは某大学教授による製作でした。中国では20万円程度するとの触れ込みでしたが、オクには数分の一の値段で出てました。
いろいろオークションとか調べた中で気になったのがZong Le Fengという人の作品。定価だと30万円を軽く超えます。クレモナでバイオリン製作の勉強された方のようです。
外見はいたってシンプル。
裏板に杢(トラ模様)が入ったりとか、高級感があるわけではないんですが、シンプルないい構えのバイオリンです。 表板のスプルースも綺麗な木目とか入っているわけでもありません。
実際、楽器の杢目とかは音には関係ないし。音がよければいいんだよね、、、
どうしよう。
写真で見る限り、良さそうな感じのいいバイオリンなんだけど、ネットで安くなっているとはいえそれなりのお値段。
結構悩んだんですが、決めきれなかったところ、なんと出品者の方の書き込みに試奏可能とのこと。たまたま近くに出張する予定がある場所だったんで、連絡を入れて試奏させていただくことにしました。
ついにネットとリアルの融合です。
試奏当日、お伺いした場所は、お店というより大きな倉庫。そもそも、街の中心から少し離れた住宅地の中で、お店の看板もなく、ちょっと心配でした。携帯で電話して、ドアを開けてもらい、入店。個人でやられているネット通販ってこんな所でやっているんだっていうイメージそのものの感じのお店でした。
がらーんとした所で試奏開始です。
弾いた感じは、ほぼほぼ予想通り。非常に大きな、はっきりした音のでる良いバイオリンでした。もちろん新作なんで音はちょっと硬めですが、そもそも購入目的が今持っているモダンフレンチのバックアップと割り切ってしまえば、全然許容範囲。楽器の鳴りの良さに驚かされます。
一応現金も用意したし買おうかな、、、、、、
んー。でも悩んだ末に、今回もお買い上げは見送らさせていただきました。
理由としては、楽器としての所有感みたいなものが感じられなかったのが一番大きかったです。
このバイオリンは確実にスーパースコパの楽器でした。杢目もなく、ニスも薄めの色でシンプル、フィッティングも本当に簡素なもので無印な感じでした。お店の方もいい音の楽器を揃えたかったんで仕入れてみたっておっしゃってました。本当にそうだと実感。
でも楽器ってやっぱり買うのであれば何かのストーリーみたいなものがないとダメなのかと思ってしましました。例えば、他人にこの楽器のことを話すときに、どんな特徴がある楽器で、どんな作者、工房かなんてものが話せるイメージがこの楽器にはありませんでした。
一言で言うとすっごく美味しい素ラーメンみたい。ナルトもメンマもなしって感じでした。美味しいからいいんだけど毎日は食べられないよね。
それから、マスターメイドという触れ込みだったんですが、ラベルに作者のサインはなく、おそらく小規模の工房でマイスターと弟子が合作したものでした。工房製でも音がよかったんで、全く問題ないんですが、中国製のマスターメイドっていうのが当初からの狙いでしたんで、そこは外せなかったです。
結局、試奏の後、少し雑談をして早々においとまして参りました。お店の方、お忙しい所本当にありがとうございました。ネットで実際にバイオリンを売られている方のお話は非常に参考になり勉強になったので、そのうち記事に反映させていただこうと思っています。
自分が買わなかったのに何ですが、本当にいいバイオリンでした。もし学生オケでこの楽器でバイオリン始めれば、間違いなく学生生活ずっと不満なく弾いていられる、最高コスパの楽器だったと保証できます。もしご興味のある方いらっしゃったらご連絡ください。この記事を書いている段階でまだ売れてないみたいです。
これと目星をつけていた楽器でお買い上げまで到らなかったので、中国マスターメイドバイオリン探しも一旦中止。参号器を探す旅は振り出しに戻りました。
でも、今回弾いてみてよく分かったのは、中国製のバイオリン本当にいいでっせ、ということです。もう少し色々勉強してみて、面白そうな楽器と巡り会えたらと思いました。そのうち中国から、モラッシー、ビソロッティに負けないような名製作家出てくるかもしれませんね。
最後に、お題にしましたネットとリアルの融合ですが、ネットで探して実際に試奏するってパターンでトライしましたが、ネットで色々情報仕入れてイメージしていた楽器の音を実際に現物でリアルに確認できたのは良い経験でした。
ある程度事前にネットで調べた情報通りの結果となりましたが、実際に楽器触ると色々なことが気になったりすることもわかりました。そんなこんな含めて大変面白い有意義な経験でした。