音と風の生活(ネットで楽しむバイオリン)

久しぶりにバイオリン始めました。ネットで買ったり、いじったり楽しくやっていきます。

フレンチボウの定番: ミラン Millant a Paris

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フレンチ棒


弓はバイオリンと同じく深い世界です。 

楽器を始めた時の弓なんて、セットで付いてて値段が分かんないか、杉藤の2−3万程度のものを選ばれるのが大半かと思います。私も杉藤には10年お世話になりました、価格を考えると素晴らしい弓で、まさに世界に誇れる”弓のカローラ”。 

それが、いいバイオリンを求めるに連れてそれを弾く弓も高くなります。私の師匠は”楽器の値段の半分くらいのものを選びなさい”っておっしゃてました。 

でもいざ買おうとなると、弓にもオールドと新作があって、分かりにくいですね。そもそも常に細い木の棒に強い力がかかる弓は消耗品とも言われてますし、消耗品のオールドってあまり他の世界では聞かない言葉。 

また、弓ではモダンという呼び方はされていなようで、だいたい1950年くらいまでがオールド、その後が新作と呼ばれてます。ざっくり、バイオリンのモダンが1800年から1950年位と言われていますから、弓のオールドが同じ時期です。 

なぜかというと、ストラディバリウスやアマーティはもともバロックバイオリンだったのが、古くなってもむしろ木材が強くなり、時代に合わせて竿を延長しても壊れず、さらに音が良くなったのが、バロック弓はそうはならなかったみたいです。 

弓の最高級作者と言われるトルテでも1800年前後に活躍された方。1700年ごろに活躍したアントニオ ストラディバリウスや、生まれが1500年代(1594年)のニコラ アマーティに比べれば相当新しいです。ちなみにアマーティが生まれたのってまだ豊臣秀吉が生きてた頃。バイオリンの歴史は古い。逆に1800年って伊能忠敬が北海道を測量してたころのようです。

反対に1950年ころまでオールドと呼ばれるのは、日本の演奏家の方々が大好きなサルトリとペカットが亡くなられたのがそれぞれ1946年と1918年だからみたい。サルトリ、私のお世話になっているアンサンブルの先生方もいっぱいお持ちです。 要は終戦と同じタイミング。


で、オールドの弓と新作の弓、弾くと何が違うのかっていうと、、、、、師匠とお世話になっているお店のオーナーのうけうりですが、”オールドは新作に比べて腰(要は反発力)がへたって弱って来るが、しなやかさが出て弓が演奏を助けてくれるので、楽に演奏できる”のだそうです。 

特にストラディバリを代表とするエージングが進んだオールドバイオリンは木材が薄く軽くなっているにもかかわらず剛性の高い材質となっていて、それゆえ少しの力で瞬発的な大きな音が出せて、オールドボウとの組み合わせは無敵とか。これは私もちょっと前に弾いてみて本当に実感。 

サルトリ、ペカットでも、もう少しの間は数百万円で買えるでしょうから、下手すれば十億を超える世界になってしまっているバイオリンに比べれば国産車一台の価格はまだましなのかもしれません。 



さて、、 



管理人のバイオリンが比較的無名なモダンフレンチであることは、前の記事に書きましたが、弓は新作のフレンチを合わせております。 

手に入れたのはバイオリンを長くお休みしていた15年ほど前、いずれ弾き始めたときに弓くらい一本いいものがないと困るだろうと思い新品状態で買いました。 

製作はパリのミラン工房で”Millant a Paris”の刻印があります。ミラン一家はロジャー、マックス、ジャンジャックミラン、ベルナルドという20世紀の名工を代々生み出した家系で、この弓は鑑定家としても名高いベルナルドの工房で作られたもの。工房は彼の死後も後進に引き継がれています。 

値段は師匠の教え通り、おまけしてもらって楽器のちょうど半分、当時は全くバイオリンを触ってすらなかったので、一番確実である意味中庸な本弓をほとんど試奏もせずに買ってしまったのを覚えています。 

中庸と思って買ったこの弓の良さを説明するのはすごく難しいですが、一言で言うと”開店したてのフレンチレンストランの定番ランチメニュー”、まだ若いけど腰もあるいい感じです。 

とりわけ弓で大事だと思う、音質と音量と反応のバランスがいいです。練習不足でアンサンブルの練習言っても、どうにか何とかなってしまうそつの無さには何度も助けられています。 色々な弓を持ち替えて練習してみても最後にはこの弓に戻ってしまう安心感のある弓です。

 

それから、スクリューが無垢の銀なのもグッド。スクリューは銀と黒の縞の弓が多い中、全銀はちょっとレトロな感じと高級感があり所有欲も満たせます。

ネットを見てもこの弓の良さを語る方は多いです。例えばあるチェロ弾きの方は、昔この弓を使われた時の印象を書かれていますので、ご興味があればリンク先などあたってみてください。 

https://leschaumes.exblog.jp/28031298/ 

書かれている方の弓へののめり込み方が手に取る様に分かる大変楽しい書き込みです。 


ミランは新品で買ったので、これから弾きこんだらどう変わっていくのか大変楽しみです。 

アンサンブルの先生も、ほぼ未使用のペカット入手されて、最初は硬かったんだけどだんだんなじんだっておっしゃってましたし。

 

ペカットっておいくらだったんだろう、、、欲しい。