音と風の生活(ネットで楽しむバイオリン)

久しぶりにバイオリン始めました。ネットで買ったり、いじったり楽しくやっていきます。

モダンフレンチのバイオリンって?   Rene Jacquemin


バイオリンの楽器の呼び方って面白いですよね。呼び名として、国の前に 
オールド(だいたい1800年まで) 
モダン(だいたい1800年以降) 
新作(これはできたばっかりのやつ) 
がつきます。 

古い方がバイオリンの木材のエージングが進んで音は良くなるんでしょうが、プロでも新作弾いていたりするのでよく分かんないですよね。 よいバイオリン、音のいいバイオリンって何なんでしょうね。

私の知る限り、古いバイオリンの方が音が円やかになるがそれはどちらかというと演奏者の近くで聞いた場合、演奏会とかではホールが反響し細かな雑音要素は吸収されてしまう。むしろ遠くの聴衆に音を届けなきゃいけないので、円やかかどうかより、遠くに届く音の方がよいということらしいです。 

もちろん両方良ければそれに越したことはないんでしょうが、、、そうなるとストラド、ガルネリの世界になっちゃうんでしょうね。また、古くて優れた楽器の音はは近くで聞くとそれほど大きくなくても、遠くにもしっかり届くように思えます。

私の師匠は大きな音を簡単に出せる楽器は、楽器を操る力が小さくて済み軽く演奏できるので上達が早いっておっしゃってました。

最近の新作は大きな音出すためだったりストラドに似せた音を出すために、極限まで板を薄く削ってるような気もして、自分のバイオリンではないですが、貧乏性の私は、これって壊れないのか心配になります。 


さて、、、、 

管理人の現在のメインのバイオリンは壱号器である、1923年作のモダンフレンチです。 

製作家は、ルネ・ジャックマン(Rene Jacquemin)、日本ではおそらくほとんど無名な製作家だと思います。 

作られた場所はフランスのミルクールという東部の小さな町。しかしフランスのバイオリン製作のメッカで、1800年代にはバイオリンの大量生産で栄えていたようです。 

バイオリンはとかくイタリアのイメージがありますが、現代のバイオリンの基礎となる製作理論を確立したのはミルクールが栄えた時代のフランスで、その製作法が今日世界中に広まっています。 

そうしたミルクールが輝やいていた時代の終わり頃、ルネ・ジャックマンは、日本人にも名が知れているムジェノーの工房で働いたのち1919年に独立し自身の工房を始めます。そして1926年にバイオリン製作コンクールで金賞を受賞しています。(これがどのコンクールかよく分からないのですが) 

彼に関するネットで分かる情報はこれくらいでして、結構謎の人。というより、多くのバイオリン製作家の人となりは本当に知られていないですね。 

私のバイオリンは工房製ですが、ちょうど彼が一旗揚げようとコンクールでの優勝目指していた時の作品だと推測されます。弾いた時のパフォーマンスの高さにも驚かされますし、海外のサイトでもミルクールの最高の時代の優れた製作家という記述も見られます。 

このバイオリンとの出会いは、約25年ほど前に、私がアメリカに異動になった時に、いただいた餞別を元手にぎりぎりの予算で師匠に選んでいただいて買ったもの。師匠は一番音が大きいやつを選んだと仰ってました。 

それから25年、社会人人生は何かと忙しく、ほとんど弾くこともなかったんですが、一度この壱号器を自分のフルパフォーマンスで弾かせてみたいと思っていたところ、某SM芸術家の方から今参加しているアンサンブルへのお誘いをいただきました。 

弾いてみて実感するのは、本当によく鳴る楽器ということ。音量番長です。 f孔から見る表板の厚みも相当薄く、軽めの筐体から信じられないような大きな音がします。 

 
高音はすこし派手目な音ですがよく通る音質で、中低音は柔らかな感じでビブラートも映えます。(私はバロックでもビブって先生に怒られちゃうほう)当然G線でのメロディー弾きも大得意。まさに、”市民オケ”向けバイオリンのフラッグシップです。 

しかし、音量が大きいっていうのはある意味カミソリみたいなもの。アンサンブルで間違えると本当に恥ずかしい。ファースト2人で弾いているときもありますから。周りの演奏者は実は迷惑してるんだろーな。 

でも一発フォルテッシモ決まった時の快感は、本当に皆様にお伝えしたい。 

なのでアンサンブル練習は本当にスリリングです。 

 

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モダンフレンチ

 

オレンジ色のニスも、フレンチっぽくっていいです。全仏オープンのテニスコートのアンツーカーの色にそっくり。とても100年前の作とはおもえないビビッドな外見。これぞフランスって感じです。

このバイオリンは、ばか高いわけでもなく、希少性もあるとはいえないので、イタリアのモダンの様にバブって値段が上がっていくことはないかと思います。でも買ったときから20年以上値段が全く下がることもない安定した資産になっています。楽器屋のオーナーにも買った時よりも楽器の値段が高騰しているから、次買うときは大変といわれています。

 

なんで、これからもしっかり守っていきたいですね。 

また、ぎりぎりの予算の中で、1ランク上のものに負けない楽器を選んでいただいた師匠には本当に感謝の言葉しかありません。 

フランスのミルクールの街には今もジャックマンの生前のアトリエがあった建物が残っていて、町のレジェンドとして彼の名前を記したプレートがかけられているそうです。ミルクール、パリからは少し遠いですが、是非いつか訪れてみたいものです。