音と風の生活(ネットで楽しむバイオリン)

久しぶりにバイオリン始めました。ネットで買ったり、いじったり楽しくやっていきます。

ストラディバリの形って? ドイツから来た参号器(ネット経由)バイオリン購入プロジェクト第7話

さて、バドブランバッハってチェコ国境近くの旧東ドイツの街でBarth(バース)という人に作られた参号器ですが、モダンフレンチのジャックマンとか比べるとグラマラスなハイアーチな楽器であることに気がつきました。

 

バイオリンの形はどんな風に決まっているんだろうってちょっと考えると結構不思議。

そもそも、今のバイオリンって、ストラディバリモデルですって書かなくても、1900年以降にできたものはほぼほぼすべてストラドです。少なくとも外見はそうです。

 

参号器の作者であるバースもストラドやガルネリのコピーで有名だったみたいですが、多分ストラドなんでしょう。

 

ストラドがバイオリンの形の主流になった理由はいくつか考えられるんですが、もっともらしい説明としてストラディバリのバイオリンはオールド最高の曲線美を持つアマーティの時代のものに比べて、横から見た時の楽器のふくらみ(厚み)が少なく作りやすいことが言われています。

 

アマーティの写真なかなかネットにありませんが、自由が丘ヴァイオリンさんのHPからのアマーティと同じ時代の作家の写真とか見ると、

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風船膨らませたみたい


我々が普段見ているバイオリンとは違う楽器な感じもしますね。

 

この形はバロックバイオリンの系譜のようで、ドイツバイオリンの発祥とも言えるシュタイナーもこうした形だったようです。こうした表板が盛り上がっている形をハイアーチって呼ぶんですが、音が柔らかくなる反面、音の大きさ自体は小さくなってしまうんだそうです。

 

表材をお椀のように薄く削るのは大変なようでして、作りやすく、音もよかったストラド型が結果主流になって行ったみたいです。

 

新作アマーティモデルって言って売られているものを含めて、18世紀のアマーティのような薄い側板に味噌汁椀のごとく膨らんだ表板や裏板のものは見たことはほとんどないので、おそらくストラドの形の影響は大きいように見えます。

 

 

さて、、、

 

 私の参号器の話に戻ると、ジャックマンのモダンフレンチに比べると結構でぶっちょハイアーチで驚きました。上のオールドバイオリンほどではないですが、表板が指板の裏側に迫っています。

 

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なんかすごくグラマラス

 

写真ではなかなかわかりづらいですが、相当出っ張ってます。

ここまで表板をハイアーチにするのは大変な作業なはずで材料も余計にいるので、何か製作上の信念とか狙いがあってやったんだと思います。前回このバイオリンの音色は柔らかめと書きましたが、この形によるものなのかも。ハイアーチの楽器は鳴りにくいって言うのが一般のようですが、この楽器はそこそこは鳴る楽器なので、うまくつくってあるなーと感心した次第。

また写真みてもらうと分かりますが、横板の杢目が結構綺麗で、さらにこの杢目がる角度によってホログラムのように消えたりしてとても美しいです。前に試奏に行った素ラーメンみたいだった、中国製マイスターメイドとは一線を画します。

なんて考えてると、このバイオリン、音だけでなく、外観までも、結構考えられて作られてたんだと言うことに気がつきました。

ジャーマンは何買っても安心なんて、安易な気持ちで手に入れた楽器でしたが、その個性を目の当たりにして驚くと共に、自分の浅はかさを反省しました。東ドイツ時代のバイオリンは、外貨獲得のための手段でもあったでしょうし、西ドイツに負けないものを作ると言う気概があったんだと思います。

そう思うと、作者であるBarthファミリーと、バドブランバッハについて興味が湧いて来ました。