音と風の生活(ネットで楽しむバイオリン)

久しぶりにバイオリン始めました。ネットで買ったり、いじったり楽しくやっていきます。

ジャーマンバイオリンって 参号器購入プロジェクト 第4話 ドイツバイオリンの系譜

色々、ネットでバイオリンを探してみようと言う試みもついに4話まで参りました。

 

日本、中国、新興国チェコハンガリー)と探して来たんですが、バックアップバイオリンとして安くてしっかり音がする狙いの楽器にはなかなか出会えませんでした。中国製に音だけならばっていう感じのものもあったんですが、楽器はやっぱり自己満足の塊みたいなものですから所有欲も大事で決断には至りませんでした。

 

で、最後の頼みの綱としてジャーマンの中古の出物を探してみることにしました。

 

ドイツバイオリンを買う上で最大の特徴は、モダン以降(1900年以降)のマイスターによる生産システムです。バイオリンが工業生産され、同じ製作家(マイスター)でも製品ラインナップにより大体の楽器の素性がわかるのはネットで中古を買う場合に安心です。

 

古いバイオリン、弓は製作家のものも多いのですが、銘が入っていないものが多く、多くはオールドジャーマンとか、クロッツスクールとかひとくくりにされ、なかなか銘品として認められていない側面もあります。実は管理人が初めて手に入れた楽器はラベルなしの無銘バイオリンでして、なかなかどんなバイオリンかわからなかった経験があります。(その話はまたどっかで語ろうと思っています。)

 

今回はバックアップ器を探しているので、値段の高そうなオールドジャーマンではなくマイスター製のバイオリンの安くて良さそうな出物を探すことになります。

 

まず、ドイツのバイオリンについて少し調べてみると、製作の中心となる地域としては3つあります。ミュンヘンからオーストリアに抜ける途中のミッテンバルト(日本語だと中森ですね)とザクセン州のマルクキルノイヘン、それから戦後はブーベンロイトが中心地として有名です。他にも都市部には過去に優れた製作家も出ています。

 

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ドイツバイオリン中心



 

ミッテンバルト、ブーベンロイトは旧西ドイツ、マルクノイキルヘンは旧東ドイツの村になります。

 

管理人はミッテンバルト近くに行ったことありますが、アルプス麓の結構な山岳地帯で、日本で言うと菅平とか木曽みたいな感じのところでした。ちょうど春先の雨で川が増水し電車が止まって身動きが取れなくなりそうになったことを覚えています。

近くにはガルミッシュパルテンキルヘンって舌の噛みそうな名前の、1936年の冬季オリンピックを開催したリゾートもあり、日本のマニアックなクイズ番組でたまに超絶クイズの回答に出てきます。

ミッテンバルトはイタリアへも近く、ストラディバリウスの兄弟弟子であるクロッツを輩出したことで有名で、オールドジャーマンの故郷です。バイオリン製作学校もあり、どちらかというと小規模工房やハイエンドのバイオリンの製作が中心です。

 

一方、マルクノイキルヘンはもう山の反対側はチェコになる国境の村ですから、こちらはボヘミアに近しいと言っていいかもしれません。歴史を紐解くとチェコとドイツの国境付近のズデーテン地方は大戦前にヒトラーによりドイツに併合されていますし、カールヘフナー等多くのマイスターを輩出した同地方のシェーンバッハと言う街は今ルビーと言うチェコの村になっています。ドイツバイオリンのルーツの一つが今はチェコというわけです。

 

そして戦後シェーンバッハを含むズデーテン地方から逃げて来たドイツ人を受け入れた街がブーベンロイトで、そこでいろいろな製作家の交流が進んだ結果、現在のドイツのバイオリン生産の中心になっています。

 

ドイツは都市や州が独自に発展している国ですので、ドイツのどの都市で作られたバイオリンか考えるのも面白く、有名なマイスターを思いつくままにあげてみると

 

カールヘフナー シェーンバッハで創立、戦後ブーベンロイト近くの街を経てフランス国境へ

ゾルト マルクノイキルヘンの隣町のバドブランバッハで創立、戦後ブーベンロイトへ

ロート マルクノイキルヘンで設立

デルフラー シェーンバッハで創立、戦後ミッテンバルトを経て、ブーベンロイトへ

ゼムリンガー ブーベンロイトの隣町のバイヤースドルフで設立

クラウスへフラー バイヤースドルフのまた隣町のフォルヒハイムで設立

ギル ブーベンロイトで設立

レオンハルト ミッテンバルトで設立 

 

クーンラ(弓製作家) バドブランバッハ

 

第二次世界大戦後にマルクノイキルヘン近郊に残った人、西ドイツへ逃げてきた人、戦争がバイオリンに与えた影響が感じられますね。さまよえるオランダ人ならず、さまよえるドイツバイオリン製作家ですね。

 

さて、ここまで調べたところでネットでいいバイオリンがないか少し探してみました。

 

次回からは私がネットで出会ったバイオリンの話を。