音と風の生活(ネットで楽しむバイオリン)

久しぶりにバイオリン始めました。ネットで買ったり、いじったり楽しくやっていきます。

ドイツとチェコの国境の町 バドブランバッハ 参号器購入プロジェクト 第8話(最終回)

さて、ネットでサブ楽器となるバイオリンを探す旅も、無事バイオリンが稼働し始めたことで成功裏に終わりつつあります。

バイオリンを出張先で弾きたいとき、どうしてもコインロッカーに入れておかなきゃいけないときなど、大活躍です。

また、バイオリンの多頭飼いって本当に楽しいです。メインの楽器ではできない色々なこともこれからやっていこうと思います。

壱号器のジャックマンは、怖くて正直自分でいじったりする気が全く起きません。値段の割のすごく良い音がする楽器ですが、やはり楽器屋さんにピンポイントでメインテナンスしていただいているからだと思えるからです。当然メインの楽器をコインロッカーに入れるなんてとても怖くてできません。

顎当て一つ、微妙に駒の位置まで変えるのも心配で、弦を全部取り替える時は微調整含めてお願いすることにしています。前に一度ドック入りさせた時に、高音側が2倍に鳴るようになったりしたことがあり、自分でいじれる世界ではないと痛感しました。

でも参号器では、もっと気軽に色々なことをDIYでやって勉強できそうです。

 

前の回でこのバイオリンの特長、ハイアーチであるとか、横板の杢がホログラムのように変わるとかを、書きましたが、そういった個性のあるこの楽器の生みの親であるバースファミリーと、バドブランバッハの街について少し調べてみたくなりました。

 

Walter Barthの父親Robert Birthは結構有名な製作家だったようで、Tarisoによると1864年に生まれ1945年に亡くなっています。

 

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Robert Barth作

 

Walter本人は、ネットに以下の記述があり、1905年生まれで、父にバイオリンを習い始めその後ドイツ各地で修行ののち、1932年に独立したようで、、ネットでは1980年のビンテージのものまで流通していることから80歳近くの高齢になるまでバイオリンを作っていたようです。

Walter Robert Born 1905 Bad Brambach Germany. Son, pupil, and successor of Robert, above. Trained with A. A. Heberlein. Later worked for H. Dölling, C. Richter in Hanover, and Pliverics in Berlin. Established independently in Bad Brambach 1932. Guarneri and Stradivari models. Varnish using a propolis base. Walter Rob. Barth / Geigenbaumeister / Bad Brambach Anno 19.. [Vannes]

 

同記事には ストラドとガルネリのモデルを作ったと書いてありますが、さらに面白い記述があり、なんとプロポリス(蜂蜜)を使ったニスに特徴があると書かれています。

 

プロポリスのニスはストラドも使っていたのではないかと言われている怪しい世界です。

https://www.tandfonline.com/doi/abs/10.1080/0005772X.1978.11097715?journalCode=tbee20

 

確かに、私の楽器も蜂蜜色っぽい気がしないではないですが、、、でもどちらかと言うとドイツの国旗にもあるブラウンに思えます。

 

Walterの子供の三代目、Werner Barthの楽器もたまにネットで目にするので、そこまで工房が引き継がれていたことは間違いなさそうですが、その後は不明です。東西ドイツ統一などの荒波に消えて行ってしまったんでしょうか?

 

 工房の住所を昔あるところで見つけてgoogle earthで調べてみました。

 

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結構な田舎町

上記の写真にある美容院の近くに工房あったみたいなんですが、影も形も無くなっています。あまりにも田舎過ぎてかストリートビューはありませんでした。

 

ちなみに、バドブランバッハのバドは温泉との意味で、この一帯はドイツで唯一のラドン温泉の名所です。そのため、ラドン温泉治療を売りにした多くの病院やホテルが存在しています。

 

バドブランバッハはペゾルテが創業したり、現代の有名弓作家クンラが工房を構えていたりとこの地方では隣町のマルクノイキルヘンと並ぶバイオリン製作のメッカ。

 

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真ん中の赤いところがバドブランバッハ、すぐ上がマルクノイキルヘン

 

正直、もう少しネットで情報取れるのではないかと思っていたのですが、結構苦戦しました。これは一度現地に行ってみないと。

 

ニュルンベルクライプチヒプラハを頂点とした正三角形の真ん中にある、チェコ国境に盲腸のように囲まれた旧東ドイツの地域に、多くのジャーマンバイオリンの歴史が詰まっているなんて不思議な感じです。

 

そもそもチェコとドイツってこんなに近いんだってけっこうな驚きです。バイロイトにも近く、 新しい海外旅行先の発見となりました。

 

バイオリンをネットで探す旅はこれにて終了。結構ネットを駆使してよいバイオリンと出会えることができたと思っています。

 

私的には新しい発見がいっぱいありなかなか楽しい探求の旅でしたが、皆さんはいかがでしたか?

 

参号器については、バージョンアップさせていくつもりなので、その都度ご報告いたします。